
【 Denis MORTET ドニ・モルテ 】
輸入元の資料より~
2006年に暦が切り替わって間もなく、ドゥニ・モルテは自らの命を絶った。完璧主義者といわれる彼の心中に、どのような葛藤があったのか。われわれは知る由もない。
その遺志を継ぐのは長男のアルノー。24歳の若さでこの名高いドメーヌの運営を任されることとなった。
専門学校を中退し、メオ・カミュゼとドメーヌ・ルフレーヴで研修。13歳の頃からすでに父の手伝いをさせられていたそうだが、2000年以降、フルタイムで働いている。
ドメーヌ・ルフレーヴで研修したのは自身もわずかながら白ワインを手がけ、ビオディナミにも興味があったため。
ルフレーヴで働いた結果、ビオディナミの難しさを理解したという。 今日、11.2haの畑はきわめてビオロジックに近く、化学肥料、殺虫剤、除草剤には頼らない栽培がとられている。
ドゥニ時代のドメーヌのワインは、いかにもジュヴレ・シャンベルタンらしい、強い抽出と凝縮感をもつワインであった。
しかし、息子のアルノーは、抽出が強過ぎるのではないかと父の造るワインに疑問を抱き、2000年にそれを訴えて以降、ピジャージュの頻度を減らすようになったという。
醸造法は、原則として完全除梗(2009年のような暑い年は半分くらい全房を含める)のうえ、低温マセレーション。
発酵容器はコンクリートタンクを使う。1日1回のルモンタージュと2、3回のピジャージュ。
新樽率も父の時代と変わり、以前はほぼ100%新樽熟成だったが、現在は村名ジュヴレ・シャンベルタンで60~70%まで下げている。熟成期間は18ヶ月。
アルノーの時代になり、ワインは力強さと同時にフィネスやエレガンスを備えたものとなり、口当たりはまろやかに、喉越しはスムーズに変化しているのは確か。
また、アルノーはマルサネやフィサンなどコート・ド・ニュイ北部のアペラシオンに関心を寄せ、この地域の畑を増やしており、それらのワインの品質がすこぶる高い。
ドゥニの訃報が世界中を騒がせた直後はドメーヌの未来を悲観する声も聞かれたが、それはまったくの杞憂。アルノーのワインはすでに父ドゥニのレベルを超えている。
ミディアム・赤
パーカーポイント:93-95ジュヴレ・シャンベルタンの北端に位置する1級畑。北の丘なので1級だが、クロ・サン・ジャックやカズティエと同様、特級に匹敵するとされる。この畑は馬で耕作。色調からして深みがあり、香りはブラックベリーやダークチェリーなど黒い果実が主体。味わいの凝縮感も高く、緻密なタンニンがストラクチャーを構成する。スパイシーな余韻が止めどなく続く。